為替手形
為替手形(かわせてがた)とは、振出人(ふりだしにん)が、名宛人(なあてにん)に対し、指図人(さしずにん)にお金を支払うことをお願いする証券(紙)です。
わかりづらいので、具体例を使って確認してみたいと思います。
登場するのは、酒屋と米屋と寿司屋です。
まず、酒屋が米屋から米を3万円で仕入れて、代金は掛けとします。
酒屋の仕訳は、下記のとおり、
になります。
次に、酒屋が寿司屋に酒を3万円で販売して、代金は掛けとします。
酒屋の仕訳は、下記のとおり、
になります。
この時点で、
酒屋には、
米屋に対する買掛金が3万円、
寿司屋に対する売掛金が3万円、
があります。
そして、酒屋は、米屋に対する買掛金3万円を支払おうとしましたが、手元にお金がありませんでした。
酒屋には、寿司屋に対する売掛金3万円があります。寿司屋が3万円を払ってくれれば、そのお金で米屋に対する買掛金の支払いができます。
こんな時に、酒屋は為替手形を使います。
酒屋は、寿司屋に対し、米屋にお金を支払うことをお願いするため、為替手形を振り出します。
酒屋は、為替手形を振り出すことで、寿司屋が米屋に3万円を支払うことをお願いできるのです。
酒屋は、お金がなくても、為替手形を振り出すことで(寿司屋のおかげで)、米屋に買掛金3万円を支払うことができるのです。
この記事のはじめに、
「為替手形とは、振出人が、名宛人に対し、指図人にお金を支払うことをお願いする証券(紙)です。」と記載しました。
この文章に、酒屋・寿司屋・米屋を当てはめると、「為替手形とは、振出人(酒屋)が、名宛人(寿司屋)に対し、指図人(米屋)にお金を支払うことをお願いする証券(紙)です。」となります。画像で示すと、下記のとおりです。
注)名宛人は支払人、指図人は受取人、と呼ばれることもあります。
- 振出人
- 名宛人=支払人
- 指図人=受取人
仕訳はどうなるの?
為替手形を振り出した時の、
酒屋の仕訳は、下の画像のとおり、
になります。
借方の買掛金3万円は、米屋に対する買掛金3万円が減少したことを意味します。
貸方の売掛金3万円は、寿司屋に対する売掛金3万円が減少したことを意味します。
寿司屋の仕訳は、下の画像のとおり、
になります。
借方の買掛金3万円は、酒屋に対する買掛金3万円が減少したことを意味します。
米屋の仕訳は、下の画像のとおり、
になります。
貸方の売掛金3万円は、酒屋に対する売掛金3万円が減少したことを意味します。
為替手形のメリットは?
酒屋は、お金がなくても、借金をすれば、米屋に対する買掛金の支払いができます。
しかし、借金をすると、利息を支払わなければなりません。
為替手形を使えば、利息を支払わずに済むため、経費の削減になります。