【個人事業の開業・廃業等届出書】正しい書き方

個人が事業を開始したり事業を廃止した場合、『個人事業の開業・廃業等届出書』を納税地の所轄税務署に提出しなければなりません。

この記事では、個人事業主・フリーランス・自営業・自由業の方が事業を開始する場合の『個人事業の開業・廃業等届出書』の書き方を、下記の順番に解説します。どなたかのお役に立てれば幸いです。

  1. 『個人事業の開業・廃業等届出書』の提出が必要な方
  2. 『個人事業の開業・廃業等届出書』の書き方
  3. 『個人事業の開業・廃業等届出書』を提出する際の注意点

1.『個人事業の開業・廃業等届出書』の提出が必要な方

個人が稼いだお金(利益)を、所得税法では「所得」といいます。

さらに、所得税法では、所得を下記の10種類に分類しています。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

そして、『個人事業の開業・廃業等届出書』の提出が必要なのは、上記の10種類の所得のうち

、不動産所得か事業所得か山林所得がある方です。

不動産所得とは、土地や建物等の貸付けにより生ずる所得をいいます。

事業所得とは、農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業等から生ずる所得をいいます。事業所得には、飲食店・美容院(美容室)・Web制作・ライター・コンサルタント・Amazon(アマゾン)出品・ネットショップ・オークション・アフィリエイト・個人サロンの運営等を行う方の所得も含まれ、これから『個人事業の開業・廃業等届出書』の提出して事業を始める方の多くは、事業所得を得る方だと思います。

山林所得とは、山林(立木)を伐採して譲渡したことにより生ずる所得や山林(立木)を伐採しないで譲渡したことにより生ずる所得をいいます。ただし、山林をその取得の日以後5年以内に譲渡したことにより生ずる所得は、事業所得又は雑所得に該当します。

なお、サラリーマンの方等が副業を行っている場合、副業により生ずる所得は、原則として雑所得に該当するため、『個人事業の開業・廃業等届出書』を提出する必要はありません。

しかし、副業であっても「事業」として本格的に活動されている方の所得は、不動産所得か事業所得か山林所得に該当する場合があります。この場合、『個人事業の開業・廃業等届出書』を提出しなければなりません。

ご自身の得る所得が、上記10種類の所得のうち、どの所得に該当するのかわからない方は、お近くの税理士にご確認下さい。

お近くの税理士に質問する

2.『個人事業の開業・廃業等届出書』の書き方

『個人事業の開業・廃業等届出書』の書き方を、画像を用いて解説します。

『個人事業の開業・廃業等届出書』は、国税庁の公式サイトからダウンロードすることができます。

国税庁公式サイト(『個人事業の開業・廃業等届出書』のダウンロード)

まず、下の画像のように、「開業」に◯印を付けます。

開業届出

次に、下の画像の赤枠内に、「納税地」を記載します。納税地とは、ご自宅の住所地です。したがって、「住所地」に◯印を付けて、ご自宅の「住所」、「郵便番号」、「電話番号」を記載します。例えば、ご自宅以外の場所に事務所等を借りて事業を行う方であっても、納税地は原則としてご自宅の住所地になります。

開業届出

次に、ご自宅以外の場所に事務所等を借りて事業を行う方は、下の画像の赤枠内に、事務所等の所在地の「住所」、「郵便番号」、「電話番号」を記載します。

開業届出

次に、下の画像の赤枠内に、「氏名」、「生年月日」、「個人番号」を記載し、「印鑑」を押します。印鑑は、認印(シャチハタ印ではなく、朱肉を使って押す印鑑)で問題ありません。

開業届出

なお、平成28年分以降の確定申告書(所得税・消費税)にも、個人番号(マイナンバー)の記載が必要となります。

次に、下の画像の赤枠内に、「職業」を記載します。例えば、居酒屋を始める方は「飲食業」、経営コンサルタントを始める方は「コンサルタント業」等、ご自身の行う事業を簡潔に記載します。

開業届出

次に、「屋号」がある方は、下の画像の赤枠内に、「屋号」を記載します。屋号とは、ご自身のお店の名称や行う事業の名称(株式会社の社名のようなもの)をいいます。屋号がない場合は、記載する必要はありません。

開業届出

次に、下の画像の赤枠内の、「届出の区分」は「開業」に◯印を付けます。

開業届出

次に、下の画像の赤枠内の、「所得の種類」は、ご自身の得る所得、「不動産所得」か「山林所得」か「事業(農業)所得」に◯印を付けます。

開業届出

次に、下の画像の赤枠内の、「開業・廃業等日」は「開業日」を記載します。

開業届出

次に、所得税の確定申告には、「青色申告」と「白色申告」という2つの申告制度があります。青色申告を選択される方は、『個人事業の開業・廃業等届出書』の他に、『青色申告承認申請書』も納税地の所轄税務署に提出しなければなりません。

したがって、『青色申告承認申請書』を提出し、青色申告を選択される方は、下の画像の赤枠内の、「有」に◯印を付け、白色申告を選択される方は、「無」に◯印を付けます。

開業届出

青色申告には、白色申告に比べて納付する所得税を少なくできる等の特典があります。

所得税は、「課税される所得金額(総収入金額−必要経費)」を下の画像の速算表に当てはめて算出しますが、青色申告を選択すると、課税される所得金額から65万円を控除することができ、これにより納付する所得税を少なくすることができます。

所得税の速算表「引用:国税庁公式サイト(所得税の税率)

例えば、課税される所得金額が500万円の方の場合、

白色申告を行うと所得税は、

5,000,000円×20%−427,500円=572,500円

になり、

青色申告を行うと所得税は、

(5,000,000円−650,000円)×20%−427,500円=442,500円

になります。

青色申告は、白色申告に比べて、納付する所得税が130,000円(572,500円−442,500円)も少なくて済みます。

青色申告の主な特典や青色申告承認申請書の記載方法を、下記の記事にまとめましたので、よろしければご覧下さい。

【所得税】青色申告承認申請書の正しい書き方

次に、今年、事業を開始された方は、今年の消費税の納税義務はありません。したがって、今年分の消費税の確定申告書を提出する必要はありません。

しかし、事業を開始する際に多額の設備投資を行った場合、消費税の『課税事業者選択届出書』を提出することにより、設備投資時に支払った消費税が還付される(戻ってくる)場合があります。また、商品販売業を行う方が海外のお客様に輸出販売を行った場合、消費税の『課税事業者選択届出書』を提出することにより、日本で商品を仕入れた際に支払った消費税が還付される(戻ってくる)場合があります。

したがって、『課税事業者選択届出書』を提出される方は、下の画像の赤枠内の、「有」に◯印を付け、提出されない方は「無」に◯印を付けます。

開業届出

ご自身の場合、消費税が還付されるかどうか気になる方は、税務署にご確認下さい。

また、消費税の『課税事業者選択届出書』については、国税庁の公式サイトでわかりやすく説明して下さってますので、提出される方は、国税庁の公式サイトをご覧下さい。

国税庁公式サイト(消費税の『課税事業者選択届出書』)

消費税の仕組みや計算方法等については、下記の記事にまとめましたので、よろしければご覧下さい。

【消費税】納付税額の計算は、知識ゼロでもこんなに簡単です

【消費税】確定申告は、誰が、どんな場合に必要なの?

次に、下の画像の赤枠内の、「事業の概要」を記載します。ご自身の行う事業の概要を税務署の方が理解できる程度に記載します。

開業届出

次に、事業開始時から、スタッフを雇う方は少ないと思います。

事業開始時にスタッフを雇わない場合、下の画像の赤枠内は、何も記載する必要はありません。

開業届出

しかし、例えば、家族に手伝ってもらい、毎月給料を支払う場合には、「給与等の支払の状況」等も記載しなければなりません。

したがって、家族1人に手伝ってもらい、毎月給料を支払う場合を例に記載してみたいと思います。

まず、下の画像の赤枠内の、「区分」は「専従者」になり、「従業員数」は「1人」、「給与の定め方」は「月給」と記載し、「税額の有無」は「有」に◯印を付けます。

開業届出

次に、下の画像の赤枠内の、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無」は「無」に◯印を付け、「給与支払を開始する年月日」を記載します。

開業届出

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無」について、納期の特例とは、本来、毎月の給料から天引きした源泉所得税は、翌月10日までに国に納付しなければならないのですが、1月から6月までの給料から天引きした源泉所得税は7月10日までに、7月から12月までの給料から天引きした源泉所得税は翌年1月10日までに、国に納付すればよいこととされる制度です。

納期の特例を選択すれば、毎月行わなければならない源泉所得税の納付が、年に2回で済むため、納付手続の手間が削減されたり、天引きしてから納付までの期間が長くなるため、その期間中、天引きした源泉所得税を事業資金として利用できる等のメリットがあります。

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」については、国税庁の公式サイトでわかりやすく説明して下さってますので、利用される方は、国税庁の公式サイトをご覧下さい。

国税庁公式サイト(源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請)

家族1人に手伝ってもらい、毎月給料を支払う場合は、このように記載します。

最後に、下の画像の赤枠内に、「納税地の所轄税務署名」と「提出日」を記載します。納税地の所轄税務署は、国税庁公式サイトで確認することができます。

国税庁公式サイト(納税地の所轄税務署の確認)

開業届出

以上で、『個人事業の開業・廃業等届出書』の記載は完了です。上記以外の箇所の記載は不要です。

3.『個人事業の開業・廃業等届出書』を提出する際の注意点

『個人事業の開業・廃業等届出書』は、開業の日から1ヶ月以内に、納税地の所轄税務署に提出しなければなりません。税務署に直接持参する方法の他に、郵送での提出も認められています。

なお、開業して1ヶ月以上経ってしまったにもかかわらず、まだ提出されていない方は、罰則はありませんので、早急に提出する必要があります。

税務署に直接持参する際の注意点ですが、記載した『個人事業の開業・廃業等届出書』のコピーを取り、コピーも併せて提出して下さい。

そして、『個人事業の開業・廃業等届出書』は税務署で保管されますが、コピーには受付印を押してもらい、ご自身で大切に保管して下さい。

コピーは、ネット銀行(ジャパンネット銀行など)の個人事業主(営業性個人)用のビジネス口座を開設(経費削減が可能)したり、銀行等から融資を受けたり、様々な助成金をいただく際に必要となる場合があります。

また、届出書を持参する際、成りすまし等防止の為、本人確認書類(運転免許証・パスボート等)を提示しなければなりません。

本人確認書類の詳細については、国税庁公式サイトで確認することができます。

国税庁公式サイト(本人確認書類について)

郵送で提出する際の注意点ですが、市販の封筒に下記の4つを入れて郵送します。

  • 記載した『個人事業の開業・廃業等届出書』

  • 記載した『個人事業の開業・廃業等届出書』のコピー(受付印を押してもらうため)

  • 記載した『個人事業の開業・廃業等届出書』のコピーを返送してもらうために必要な返送用の封筒(ご自身の名前とご自宅の住所を記載し、切手を貼ったもの。切手については、封筒の大きさ235mm×120mm×10mm・重さ25g以下の定形郵便物は82円切手を貼ります。コピー1枚を返送してもらうだけですので、重さが25gを超えることはありません。したがって、大きさ235mm×120mm×10mm以下の封筒を使用する場合は、82円切手を貼ります。なお、平成29年6月1日に郵便料金の改定がありましたが、定形郵便物の料金82円には変更がありませんでしたので、平成29年6月1日以降に届出書を提出される方も82円切手を貼ります)

  • 本人確認書類(運転免許証・パスボート等)の写しを、「本人確認書類(写)添付台紙」に添付したもの(「本人確認書類(写)添付台紙」は、国税庁公式サイトからダウンロードすることができます)

国税庁公式サイト(「本人確認書類(写)添付台紙」ダウンロード)

なお、宛名は「◯◯税務署」と記載するだけで問題なく、「△△課」まで記載する必要はありません。そして、宛名の横に、「個人事業の開業・廃業等届出書 在中」と記載しておくと、税務署の方は助かると思います。

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